59 posts categorized "短歌「塔」など自作掲載関連"

Dec 12, 2009

「塔」09年12月号掲載歌

単身赴任の家より響く低音は六年男子が母守る声

秋近し小学生が宿題を仕上げつつ聴く深夜放送

十歳が言葉に迷い「宝塚の逆」と訊ねる歌舞伎について

駅前で帰宅者を待ち握手する民主候補の手のやわらかさ

著書多き評論家たる塾長も街では窓際社員に見える

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Nov 17, 2009

「塔」09年11月号掲載歌

帰宅して友の逝去をわれに告げ眠る夫の背のあたたかさ

発表会親子連弾の親たちは子を脇役に自が音に酔う

塾荷物より軽いよと小六は修学キャンプのリュックを背負う

打ちあげた花火の色に少年は火にぬりえしているんだと言う

十歳は執事の意味を訊ぬるに秩序血筋と舌もつれさす


二首め、結句は投稿時「わが音」だったのですが
確にそれでは「作者のわたしが出した音」と誤解を招く。
納得の添削、勉強になりました。

今月はエッセイ「私の鞄」もイラストつきで掲載。
目次に塩谷さんとあるのはたぶん誤植かと。

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Oct 12, 2009

「塔」09年10月号掲載歌

太陽光発電リフォームセールスが築三年の街にまた来た

四十路にてようやく消えたささくれを見せて爪かみやめろと諭す

懸賞の由来と懸賞幕のこと知りたがる子と見る名古屋場所

さやちゃんの二首を見せれば数分で「ペットが死んだ」と読み取る十歳

オチをつけて作文教室で四首書いた次女を短歌の仲間にしたし

絵描きさんもピアニストも居る科学者の女性もいるよ「塔」には実は

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Sep 12, 2009

「塔」09年9月号掲載歌

顔よりも大きくなった足の裏見せて十一ソファに足組む

室内に網戸すり抜け飛ぶ虫を子はじゅうたん用コロコロで追う

つまみなは野菜の名ではないと知り子が歌い直す「みどりのそよ風」

野良着着て三角移動の三時間畑二枚とスーパー三和

入門書立ち読みすれば会得した気分になれる新刊書店


掲載されてから気づいたが、四首目は正しくは
「四角移動の三時間」だ!(汗)
でも「三、三、二、三」も面白いから採られたんだろうか。

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Aug 13, 2009

「塔」09年8月号掲載歌

あれがわが原風景か北の間のひとつ布団に父母が居たこと

菜園の夏の日暮れの蚊柱に娘は気味悪いもう来ないとう

チェック表「家族と話をしましたか」のために口数増える食卓

子らの名の「み」は海の字か木の実の字美(び)の字の消えた小学生名簿

後頭の白髪さすりて信号待つ空車タクシー運転翁は

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Jul 10, 2009

「塔」09年7月号掲載歌

井戸端の良妻賢母の格付けを恐れて家事をしたのか母も

剪定をせず冬越した若紅葉かんぬき枝のまま芽吹きたり

アプローチにシルバー派遣の植えし花緑の指持つ伯母無口なり

うちよりも小柄な六年生がいて世話焼く親もいる模試会場

詩の時間詩はいやですと書いていた私が今は短歌をつくる

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Jun 12, 2009

「塔」09年6月号掲載歌

週一度出入りのクリーニング屋が芝生の春にまず気づきけり

三月の夜風をドアであおぎ入れ酒と夫はウッドデッキへ

重曹で落ちぬ風呂カビはカビキラーの前に住居用洗剤よ 貴方

寝台車に乗りたかったと子は嘆くブルトレ廃止のドキュメンタリーに

「十歳までの教育」とは学力よりも思春期前の生活習慣


三首目「重曹」が誌面で「重層」になっていたので訂正依頼を出しました。

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May 15, 2009

「塔」09年5月号掲載歌

誰といつ観たか触れずに綴られるあまたのブログの映画レビュー

まにまにのうたと覚えて九歳は「このたびは」の初句度忘れす

入試問題「キャベツとレタスを見分けよ」を違(たが)うわが子に言葉失う

鋤鍬も刃物たること思いつつ固きブラシで泥そぎ落とす

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Apr 15, 2009

「塔」09年4月号掲載歌

大掃除終えて帰省の車中にて磨き忘れたわが眼鏡拭く

離り住む縁者はなぜかわが子らに服見立てては着せて見たがる

訪問のマナー・トークは親よりもスポ根漫画が手本示しき

初恋の君と知らずに母が見すわが級友の載りたる雑誌

「捨てられぬ」少女なるべし手作りの正月飾りを焼くなと泣くは


この号で佐藤陽介さんが、2月号掲載の拙作に
選歌欄評を書いてくださった。ありがとうございます。

網棚が網たる時代を知らぬ子は電車に乗れば棒棚と言う

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Mar 14, 2009

「塔」09年3月号掲載歌

白壁の蔵持つ古き屋敷にもエアコン穴と防犯カメラ

繁栄のドバイ伝える新聞を丸めて夫の靴先に詰む

工務店の顧客パーティーの撮影のときだけ夫はわが肩を抱く

世の中の値段をすべて念願のゲーム機何個と子は換算す

殺気立つ登校前の娘を待ちて二坪の芝を熊手でこする

都会っ子に葱の土寄せ出題し「生活体験」問う私立中

比べない競争させない塾長に姓で呼ぶ子と名を呼ぶ子あり

主婦逝きて捨て置かれたる漬け樽の歌思いつつぬか床(どこ)を練る


久々の8首掲載(出詠10首中)。うれしいが、外された
落選作2首の推敲不足、練上げ不足がかえって際立ち、
納得するやら恥ずかしいやら。

でも自分で掲載作品・不掲載作品の内容の違いがそれなりに
見えるようになってきたのは、毎月「塔」誌面を通じて
いろんな歌に触れてきた成果が、あがりつつあるからかしら。

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