黑田英雄さんのブログ
「塔」会員のブログに黑田英雄の安輝素日記というのがある。
くろださんのクロは旧字、タイトルの読みは「あんぎらすにっき」。
黑田さんは「塔」最新号が届くと数日中に通読を終え、気に入った
作品を全作品から数十首ピックアップして「陽の当たらない名歌選」
としてブログに発表されている。選歌欄ごとの名歌選ならわたしも少し
試みたことがあるが、<毎月必ず><全選歌欄から>選歌するのは
時間的、精神的にけっこうきつい。だから黑田さんはすごいと思う。
彼は「塔」の他に結社「短歌人」にも属していて、そちらの名歌選も
欠かさず発表している。結社によって歌のカラーが違うのは興味深いし
選歌する人の人柄が見えて面白いから、このように短歌結社誌から
自分なりの選をネットに発表する人が、他にもっと増えてほしい。
他の結社誌でもこういう引用がネットに増えれば、会員以外に
誌面の一端がうかがえて、より興味を持ってもらえるだろうに。
さてその黑田さんが、最新「塔」09年3月号より拙作:
工務店の顧客パーティーの撮影のときだけ夫はわが肩を抱く
を選に入れてくださった。ありがとうございます。
が、実は過去にも何回か拙作を「名歌選」に選んでくださっている。
覚えている限りでは:(以下年月は掲載の「塔」発行月)
葬式で夫のまといしワイシャツが学芸会の舞台に踊る(08年3月)
少年は神輿担ぎに恍惚を見いだせぬまま法被脱ぎ捨つ(08年1月)
七歳は雨ニモマケズを暗唱し「ほめられないなら真似したくない」
(06年11月)
七歳が三桁の長寿にあこがれて何度も見たがる「百歳バンザイ!」
(05年12月)
などを引用してくださっている。彼の名歌選を読む限りでは
黑田さんは短歌でも日本映画でも、人間ドラマや人生の機敏を
感じさせる作品が、お好みのようだ。「安輝素日記」には
短歌以外の記事やエッセイもあるが、どれも挑発的な文体で、
短歌編ならいわゆる重鎮歌人をもばっさばっさと斬っている。
評論サイトとして見るとこれほど率直な物言いは珍しく、
短歌界への進言もけっこう的を得ていて、痛快ですらある。
アクセス数もけっこう多いそうだが内容のあけすけさからか
何かのタブーに触れているのか?ネット上、他所で引用される
ことはめったに無いか、目立たない。
敵も多そうなサイトではあるが、少なくともわたしは何度も訪問し
黑田さんのブログを興味深く読ませていただいている。
短歌とつかず離れず細く長くつきあいたい者の、ひとりとして。


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